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ベニスを舞台にした映画 "危険な美"

マーガレット・ロゼンシャル原作「正直なコルテザン」、マーシャル・ヘルコヴィッツ監督の映画。1998年。

ヴェニスではほとんど話しの種にもならなかった映画だが、日本では上演されて、見た人も多い映画。映画自身はヴェロニカ・フランコ、16世紀のヴェネッツィアの有名なコルテザンを主人公にしたもの。
コルテザンは15世紀ぐらいから、有名になる一種の高級娼婦の事だ。美しいだけではなく、楽器が弾けたり、詩を作ったり、教養も高く、話し上手で、男性を楽しませる事に長けていた女性達の事だ。ヴェロニカ・フランコはヨーロッパ中に有名になったヴェネツィア女性。ヘンリー4世がフランス王になる前に、ポーランドからの旅の途中、ヴェロニカと夜を過ごした事でも有名。
映画自身は、伝記というよりは、ロマンチックなハリウッド風、アングロサクソン風の童話的な構成。実際のヴェニスとはほど遠い1500年代を描いたもの。映画の中ではヴェロニカは貴族マルコとの結婚を断念させられて、コルテザンになる事になっているが、実際のヴェロニカはとても若い時に年取った男に嫁ぎ、その結婚破綻のあと、コルテザンになる。何人もの貴族の愛人があったが、映画の中のマルコの存在を記録するものはない。
コルテザンである事を恥もせず、社会的、経済的地位を上昇させて行くが、遺書(その頃出産は大きな危険を伴っていたので、その頃の女性は子供産むたびに、遺書を残すのが義務づけられていた。)に、読む事のできるヴェロニカは、人間的な愛にあふれた、頭のいい女性(ジョワンニ・スカラベッロ 1990)。後期には売春婦達を救う収容所を作るためにヴェネツィア政府に請願書などを出している(スカラベッロ)。
映画のように、実際宗教改革の厳しくなって行く状況で、魔女として訴えられたが、これは近所の人々の悪意。映画のようにヴェネツィア共和国を左右するような大きな力を持った事はない。映画の中でのように裁判中、貴族でも女性が参加して、その結果を左右する事ができるような力を女性が持った事はなかった。結婚前の女性は一人で外に行く事も許されなかった。このような状況の中で、結婚に破綻したヴェロニカが選んだ道は、男性社会の共和国の中で、もう少し別の視点から、真剣にみつめられてもよかったテーマ。
ロマンスとしては、売るのが目的のハリウッド映画、売れるためのあらゆる条件はプロットの中に含まれていて、まあまあかなというところだが、雰囲気は、どうしても、アングロサクソンの国のシェクスピアのドラマを見てる感じ。もう少し、ヴェネツィアの歴史を勉強して、衣装などももう少し、ヴェネツィアふうに凝って欲しかったなというのが、筆者の感想。 あの有名な映画「芸者」でも、中国の女優が、着物のすその下の方を子供みたいに着て、男風に腕をついて礼をするところなんか見ると、もう、がっかり、シラけてしまう。
せっかくものすごいお金を使って映画を作るんだから、もう少し、プロフェッショナルであって欲しいと思うのは、でも筆者だけかも。

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